タカラバイオの研究によって、髪の毛によいということがわかった「ガゴメフコダイン」。ゴゴメ昆布から取れるその成分は、なぜ育毛に効果があるのでしょうか。
その謎に迫ってみたいと思います。
目次
ガゴメフコダインとは?
フコダインとは?
昆布やワカメを食べるとネバネバしますよね。そのネバネバの元となる成分が「フコイダン」です。フコダインは、水溶性食物繊維の一種です。海流が激しく、多くの魚や外敵が存在する海の中で、自らの身を守るために海藻がつくりだした特殊な成分です。菌が自分の体の中に入らないように守ったり、傷がつくとその部分を補修するために、ねばり成分として外に出て、修復力・防御力の役割を果たし、健康な状態を保とうとします。これらの働きは「天然の防壁」ともいわれ、世界でも海藻にだけ含まれる特殊な成分です。
人体に使用すると、免疫力の向上や肝機能の向上、その他さまざまな健康効果が実証されている期待の成分です。
ガゴメ昆布とは?
数ある海藻の中から取れるフコダインの中でも、ガゴメ昆布から採取されるフコダインのことを「ガゴメフコダインといいます。
まずガゴメ昆布について説明をします。
ガゴメ昆布は、北海道の函館近海の海域でとられる珍しい海藻です。非常に限定されたれた条件を満たさなければ成長しないため、取れるエリアも非常に限られます。そのため、ガゴメ昆布の生産量は、北海道で生産される昆布全体のうちの数パーセントしかありません。希少価値の高さだけでも大きな注目を集める要素になりますが、とくに注目されているのは希少価値よりも、ガゴメ昆布に含まれるフコイダンの含有量なのです。
ガゴメ昆布に含まれるフコダインの特徴
ガゴメ昆布には、他の海藻を大きく上回る量のフコイダンが含まれています。その豊富さは、昆布の代表である「真昆布」のおよそ3倍というから驚きです。
ガゴメ昆布に含まれるフコイダンの特徴は、その含有量だけではありあません。
「分子量が大きい」
「硫酸基が多い」
この2点があげられます。
では、この2つの特徴があることでどのようなメリットがあるのでしょうか。
ガゴメフコダインの特徴
分子量が大きい
腸には、免疫細胞の60~70%が集まります。そのため、腸は免疫機能をコントロールする非常に重要な臓器となります。その腸の中にあるリンパ装置に、高分子のフコイダンが取り込まれることで、免疫細胞が刺激されます。海の中でガゴメ昆布が自身の体を守るために行っていたことがそのまま腸の中で行われているという事です。これにより人の体の免疫力は大きく高まります。
硫酸基が多い
フコイダンを構成する物質のひとつに硫酸基というものがあります。
人の体内にも存在しており、生きていく上で必要になるたくさんの機能をコントロールしています。
そして、フコダイン全体の中で硫酸基が13%以上の量を含んでいなければ、そのフコイダンは力を十分に発揮させることができないと言われています。それほどフコダインの働きのキーになる物質なのですが、ガゴメ昆布のフコイダンにはこの硫酸基がなんと25%以上も含まれています。これは、フコダインノ活動に必要な硫酸基のおよそ2倍の量ですので、ガゴメ昆布から採取されるフコダインの活性は非常に高いものとなります。
ガゴメフコダイン研究の歴史
タカラバイオによる熱心な研究
ガゴメ昆布フコイダンは、組織再生促進作用や免疫活性化作用など、さまざまな生理活性があることが実証されています。
日本では、縄文時代から昆布は食べられていたと言われています。長い期間食べられ続けている自然食品と言えます。そして、数ある昆布のなかでも、「タカラバイオ」(タカラ酒造のバイオ研究部門)が目を付けて研究開発を進めたのがガゴメ昆布でした。最初は「食べると健康に良いはず」と研究が始まりました。特にフコダインが多く含まれていることからネバネバが他の昆布よりも強く、食品としての研究と並行して、肌に塗るタイプの化粧品として使えないか、という研究がすすめられ、さらに昔から「昆布は髪の毛にいい」と言われていることを理由に、新たな育毛剤の成分として使用できないかという目線で研究が進められてきました。2000年には3種類あるフコダイン「F-フコイダン」「U-フコイダン」「G-フコイダン」のうち「F-フコイダン」に育毛効果があるということを突き止めました。そして長年の研究の結果、ガゴメフコダインの主成分が「F-フコイダン」であり、毛乳頭細胞を刺激し、毛母細胞を増殖させる働きがあることが明らかになりました。
マウスを使用した実験の結果
マウスの毛髪を使用した実験では、海藻由来のいくつかのフコイダンとマウスの毛包をともに培養した結果、毛胞の細胞増殖が促進さた状態になり、毛髪の大きな成長が認められました。
また、この成長作用は、他の海藻から摂取したフコイダンと比較して、ガゴメ昆布から摂取したフコイダンが特に強いということがわかりました。
つまり、ガゴメフコダインの育毛効果というのは、単純に、すべての海藻に含まれるフコイダンの特性というのわけではなく、ガゴメ昆布フコイダンだけの特性ということになります。
育毛になぜ効果があるのか?
マウスを使用した実験の詳細
上記の実験について、育毛に関してどのような理由で作用するのかという観点でもう一度見てみましょう。
実験の具体的な内容としては、
2、フコイダンを塗布する
3、毛の生えるスピードがどう違うのかを測定する
という実験です。
同じような手順で、
2、フコイダンを塗布する
3、髭が伸びるスピードがどう違うのかを測定する
という実験も行われました。
これらの実験の結果、
ガゴメフコダインを塗布したマウスには早期から発毛の確認がされたそうです。
毛乳頭細胞を使用した実験の詳細
その後、毛乳頭細胞を使用した細胞実験も行われました。
これについては、髪の毛の生えるメカニズムを先に説明しておかなければいけません。
髪の毛の工場かつ原料ともいえる毛母細胞の増殖を司っているのが、毛根の一番下の部分に存在する毛乳頭細胞です。この毛乳頭細胞から生まれるFGF-7(ヒトアミノペプチド)というタンパク質の一種(成長因子)は、毛母細胞の細胞分裂をを促進し、育毛効果があるということが判明しています。
FGF-7の産生が上がると、人のヘアサイクルの周期である成長期2〜6年、退行期2〜3週間の、休止期3〜4ヶ月の中の、「成長期」をと行くに長く維持し、休止期を素早く成長期に切り替えることで、育毛につながります。
つまり、FGF-7が毛乳頭細胞の中でたくさん生産されればそれだけ育毛に効果があるということです。
実験の内容に戻ります。シャーレに入れた毛乳頭細胞の中に、1mlあたりフコイダン100μgを添加し、培養を行う実験をしました。
これはつまり、特定の期間中に産生したFGF-7のタンパク質量を調べることが目的の実験です。
結果として、フコイダンを添加していないものはゼロで、フコダインを添加したほうはFGF-7のタンパク質の産生量は増える結果となりました。
ガゴメフコダインへの期待
これはフコイダンが毛乳頭細胞に及ぼす作用のみをピックアップした結果ですが、フコイダンには、毛乳頭細胞に限らず、神経細胞や肝臓の細胞なども活性化させる作用がます。その詳しいメカニズムはまだ十分解明されていませんが、今後の研究次第では、北海道から世界に羽ばたく医療成分になる可能性を秘めています。
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